鋏の買い換え時

私のシザーケースの中には、鋏が6丁と櫛が4本入っています。男性か女性か、またカットする場所やカットの仕方など用途に合わせて使い分けています。普通の美容師さんや理容師さんよりも、ケースの中の鋏の数が少し多いかもしれません。


なかでも、頻繁に出番があるのが5,5インチの鋏です。とても使い勝手がよく、女性のカットにはもちろん男性のカットをする時にも出番があります。大きくもなく小さくもなく私の手に丁度いいのです。この鋏は7~8年前に友人の美容師さんから頂いたおさがりで、バルツというメーカーの古い鋏で、今はもうそのメーカーはありません。


ハサミにも寿命というものがあって、年に何度か研ぎながら、油もこまめにさしながら大事に使いますが、何年何十年と使っているうちに、いい鋏でもはがねがダメになってしまいます。


ハサミの値段はピンきりで、数万円から数十万円と様々です。安いものはそれなりで、重いしすぐに切れなくなります。いくら研いでもまたすぐに切れ味が悪くなり使い物になりません。切れ味の悪さと鋏の重さが手の負担になり、手を痛めてしまいます。値段なりの価値という訳です。


値段の高いものはやはり素晴らしく、軽いし手に馴染んで持ちやすく切りやすい。また長切れします。さすが、はがねに違いがあるのです。


とはいっても、高価なハサミを買うのは大変な事です。当たり前ですがいい鋏イコールいいお値段な訳です。


バルツの鋏は頂いてから何回も、いや?何十回も研いで使っていました。もちろん友人も同じように使ってきたと思います。私は、前々回に研ぎ屋さんから、そろそろはがねがダメですよ、と言われていました。


先日その鋏を使っていた時の事。はがね問題とは別の事で、ん?なんか変だぞ?この音?カチカチってするー、よく見て見ると、、

指を入れる二つの持ち手の間に、普通は小さい丸いゴムの様なモノ(ヒットポイントという名称です)がついていて持ち手同士がぶつからないようにクッションになっています。それがとれて無くなっていて、カチカチと音をたてていたのです。そのヒットポイントがないとストッパーが利かず、刃と刃が重なりすぎて刃がむきだしになり怪我をしてしまいます。


すぐにいつもの研ぎ屋さんに連絡をしました。メーカーがすでにないので部品はとれませんが、その形に似た合うものを探して加工してつけてくれる、との事でした。

ついでに研いで頂いて、とりあえずは使えるようにしてもらいましたが、今度またそのヒットポイントがとれたり切れ味が悪くなってきたら、買い換え時と決めました。


しかし、その時が急にきたら仕事ができずに困るので、前もって鋏を買う事に決めました。新品を買うのもなかなか大変だし、またどこのメーカーのどの鋏がいいのかも悩み所なので、中古品でも詳しく説明してあり、メールでの質問にもきちんと対応してくれて、アフターサービスも充実している、金沢市の『ハサミ屋はやし』さんから買う事にしました。


これまで使っていたものと同じサイズで似た形のものにしました。それはミズタニというメーカーの鋏です。中古品で値段も手頃で良く手入れしてあり、すぐに使えるので、即決しました。


余談ですが、新品の鋏は直ぐにはバサバサ切る事ができず、柔らかい髪から少しずつ切って、徐々に慣らしていくので、いい状態にもっていくまでに時間がかかるのです。


品物は3~4日で届きました。

その鋏は、今はまだ静かに箱の中で、「その時」がくるのを待っています。

これまで、いつバルツの鋏がダメになるんだろう、いつまで使えるんだろう、と不安を抱えていましたが、今は次の鋏が待機してくれているので安心です。


バルツさんには大変長い間いろいろとお世話になりました。もちろん手入れしながら大事にしてきましたが、仕事ではもう使えません。引退時です。この後は、お友だちに譲って家庭で使ってもらってもいいし、私が自分用として家に置いてもいいし、まだまだ頑張ってもらって、第二の鋏人生を楽しんでもらおうと思っています。とりあえずはお疲れ様でした。ありがとう!バルツさん(^-^)/


長年お世話になったバルツの鋏
長年お世話になったバルツの鋏
準備万端待機中のミズタニの鋏
準備万端待機中のミズタニの鋏